【不動産投資】一見デメリットばかりの不動産投資を敢えて選択する人のロジックを懇切丁寧に解説する

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 クレジットカードの読みものさんで不動産投資について随分と偏った記事があったので、不動産投資に前向きな僕が我慢できず、言及したくなったので記事を書いてみました。こういったオピニオン系の記事は偏っていればいるほど炎上議論が活発になり、ある意味狙い通りなんでしょうかね。

 

同氏の考える不動産投資のデメリット 

  1. 購入リスク…購入した物件に欠陥があるかもしれない可能性
  2. 借入リスク…銀行から大金を借りることの怖さ
  3. 空き家リスク…借りる人が現れなければ赤字になる危険性
  4. 補修リスク…突如、物件が壊れたりした時の修理費用
  5. 火災リスク…住人が火事を起こしてしまった場合の対処
  6. 天災リスク…地震や噴火などのリスク
  7. 事故物件リスク…自殺や殺人などの、事故物件になる危険性
  8. 賃料リスク…不人気地域や大学撤退などによる賃料ダウン
  9. 未払いリスク…賃料を払ってくれない入居者に対するリスク
  10. 訴訟リスク…賃料未払いで追い出した入居者からの訴訟リスク
  11. 税金リスク…個人所得であれば利益に対して最大55%の税金
  12. 売却リスク…売ろうとしてもなかなか売れない&安値になる危険性
  13. 手数料リスク…不動産購入&売却時にかかる不動産仲介手数料
  14. 確定申告リスク…経費を申請するには確定申告をする手間が必要
  15. 情報漏洩リスク…登記簿を見れば、誰が所有してるかわかる怖さ
  16. 手続きの手間…不動産会社や入居者との手続きにも手間が必要

まず、リスクとデメリットが同一の意味で使用されている点についてそもそもの違和感を感じますが、それは置いておいたとして一つずつ言い訳をしてみたいと思います。

※そもそもビジネスとして考えた時に、上記のように"リスク"として顕在化されている時点で、当然それらにはリスクをコントロールするための保険(打ち手)がそれなりに用意されているものです。それらの打ち手が業界的に不十分である、という問題提起であれば素敵なエントリーになったと思いますが・・・というぼやきは無用ですかね

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1.購入リスク…購入した物件に欠陥があるかもしれない可能性

当然、物件を購入する前には現地調査を行います。外壁のひび割れや天井の雨漏りの跡など、顕在化されているものはその時点で欠陥として売買交渉時に明らかにし、場合によっては物件価格から当該欠陥の修復代金分を値引いたりするのが通常です。

こうした目利きが出来ない人や全て仲介会社にお任せ〜の人にとってはリスクとして捉えられるかもしれませんが、そういう人はそもそも本気で勝ちに行っていないスタイルですのでビジネスや投資としての土台に上がっていないケースです。

 

2.借入リスク...銀行から大金を借りることの怖さ

正直これをリスクというには少々言葉選びが乱暴にも思いますが、言うなれば資金繰り悪化による破産リスクとなるでしょうか。

これについても不動産投資においてはコントロール可能なリスクとなります。FXや株においてもレバレッジや信用取引として同じようなリスクを孕んでいますが、当然レバレジを効かせればハイリスク・ハイリターンとなり、リスクを少なくする戦略を取る場合においては低価格な物件や自己資金を物件価格の○割投じる、などで対応することとなります。

資産無き者が一財を築くのであれば最低限取るべきリスクとも思いますが(そもそも銀行が貸してくれないがため、物件を買えないことの方がリスクですね)

 

3.空き家リスク…借りる人が現れなければ赤字になる危険性

大家になれば自動的に賃料収入が不労所得として入ってくる、という前提でのリスクと定義されているように感じますが、当然大家も空き家を最小限にする経営努力を行います。

所有アパートを優先的に紹介してもらえるように仲介業者への営業努力を行ったり、物件の付加価値を高めるためのリフォームを行ったり、場合によっては価格を地域最安値などに見直すことで空室リスクを最小限に留めることが可能です。

(だから安心!というわけではありませんが、対処法がいくつもあることを吟味されていないところが違和感です)

 

4.補修リスク…突如、物件が壊れたりした時の修理費用

火災保険というものをご存知なのでしょうか。例えばアフィリエイトで生計を立てているケースで、突如、WEBサイトがハッキングにより削除・改変され、たまたまバックアップデータもストレージの故障等により飛んでしまった時のリスクと比較すると、補修リスクのほうが打ち手としては随分と明確にノウハウがあるように思います。

また、当然勝ちにいく不動産投資においては想定されるコストとなる修繕費は毎月積み立てており、経年劣化等の補修には対応したとしても利が残るように計算されています。

 

5.火災リスク…住人が火事を起こしてしまった場合の対処

火災保険とうものを・・・・

 

6.天災リスク…地震や噴火などのリスク

地震保険というものを・・・というのは冗談で、確かにこれはコントロール不可能なリスクかもしれません。福島原発の近隣で所有していたアパートが運営できなくなることは大ダメージでしょう。このリスクをコントロールできるとすれば、そもそも物件購入段階で天災リスクについては十分に検討する必要があるでしょう。

 

7.事故物件リスク…自殺や殺人などの、事故物件になる危険性

これも不動産投資を実践する大家からすると最も恐ろしい部類に入るリスクです。メガ大家と呼ばれるような何十棟も収益不動産を所有する人ならそれなりの確率で遭遇するリスクです。

個の物件だけで対応するには限界があるリスクですので、この場合は1棟がダメになっても複数棟所有することでダメージを軽減させる等の分散投資を行っていることが重要なポイントでしょう。

そのため、走り始めは中規模以上のマンションなどを精一杯の自己資金で購入する集中投資よりも、2〜6戸程度の小規模アパートを複数棟所有するスタイルで足場をしっかりと固めることがリスクへの対策となると思います。

 

8.賃料リスク…不人気地域や大学撤退などによる賃料ダウン

不人気地域の物件はそもそも買わない(ようにちゃんとリサーチする)、という前提はさておき、購入時点では賃貸需要に恵まれていたのに大学や大手企業の工場が撤退したが故に賃貸需要が無くなるリスクはあります。

ただ、私立大学の首都圏回帰や工場の集中化等、今時のトレンドとしてはこうした偏った賃貸需要に期待した収益不動産の購入は賢い選択とはされておらず、やはり勉強不足の人任せ投資家が陥る事例でしょう。(そもそも不動産投資自体のデメリット、とまで言い切るものではないでしょう)

 

9.未払いリスク…賃料を払ってくれない入居者に対するリスク

一時的にキャッシュフローが悪化するリスクのことであれば、その通りだと思います。

打ち手としては、それなりの手数料が必要ですが、賃料保証会社を間に挟むことや、家賃回収を行う管理会社との関係値構築が肝となるでしょう。

ただ、夜逃げをされてしまうケースを除くと、よっぽどでない限り賃料をとりっぱぐれることは日本の民法上は少ないでしょう。

 

10.訴訟リスク…賃料未払いで追い出した入居者からの訴訟リスク

これはどういったケースなのでしょうか。賃貸借契約に則り、賃料が未払いであるため契約が解除となった後に、元借り主が貸主を訴えるとすれば。。。

例えば、退去後に残された家財を一方的に処分した、等に対する訴訟であればリスクとしてはあり得るかもしれません。そうしたことに対応するため、賃貸借契約書中には、借り主に起因する事由により契約解除となった際の対応方法について、明確に記載する必要があるでしょう。つまり一定程度コントロール可能なリスクかと思います。

 

11.税金リスク…個人所得であれば利益に対して最大55%の税金

仰るとおりのリスクがあるので、一定程度の規模になると税金面で優遇措置を得るため、法人化するのが定石ですね。よって55%のリスクはコントロール可能です。

 

12.売却リスク…売ろうとしてもなかなか売れない&安値になる危険性

出口戦略をどう考えるか、ですが、不動産資産というものの性質上、株などの金融資産と比べ流動性が低いのは確かです(同様に購入時にも時間が非常にかかることが多い)。

一にも二にも、最初の物件選定の(入り口)時点で勝負が決することでしょう。そのため、なんとなく良さそうだな、という不確かな感覚での不動産購入は避けるべきです。「サラリーマンの皆様の資産運用のお手伝いを・・・」として掛かってくる不動産営業の電話はこうした地雷が大半でしょう。

 

13.手数料リスク…不動産購入&売却時にかかる不動産仲介手数料

 そもそもこれはリスクという言葉に該当しませんので割愛します。

参考に、400万以上の物件であれば物件価格の3%+6万円が仲介手数料となり、物件価格のうち土地代を除いた金額には消費税8%を乗じた金額が必要となります。

これらのことを知らない不動産投資家であれば、購入段階で「え、仲介手数料なんてかかかるの!?想定してないんだけど!」となるかもしれませんが、、、これはリスクなのでしょうか?

 

14.確定申告リスク…経費を申請するには確定申告をする手間が必要

手間=リスク、ではないですね。サラリーマンと違って確定申告をすることで様々な支出を経費化出来るメリットが逆にあると思います。

 

15.情報漏洩リスク…登記簿を見れば、誰が所有してるかわかる怖さ

不動産投資は、その性質上、経営とほぼニアリーです。当然、代表取締役の氏名等はどの企業も明らかにされるべきもので、逆に言うとそこを明らかにされない人とはビジネス上の付き合いは出来ないのが社会通念でしょう。ところで情報漏えいというのは名前が知れ渡ることのリスクのことでしょうか?実名SNSよりかは余程マイルドなリスクと思います。

 

16.手続きの手間…不動産会社や入居者との手続きにも手間が必要

2年契約が基本ですので頻度は高くありませんが、こういった手続き時の契約書を読み込めないお任せ気質の人には向いていない投資(ビジネス)であることは間違いないでしょう。この手間を惜しむ人は不動産投資ではなく、アフィリエイトで毎日記事更新に勤しむべきなんでしょうかね(こちらのほうが余程大変に稼働がかかると思いますが)

 

 

 REITと不動産投資は同じ土俵で比べるものではない

同氏は、不動産投資をやるくらいなら年利3〜10%のREITの方がプロにお任せで投資として優れている、不動産投資は2〜7%程度の利回りだし、とのことですが、不動産投資のメリットを検討されていない意見と感じざるを得ません。

不動産投資の最大のメリットは、金融機関から自己資金10倍〜程度の莫大な借り入れが可能であり、言わば他人のお金で勝負ができることです。500万の資金を持つ人が5,000万を借り入れ物件を購入、利回り10%で年間500万の収入がある物件を手にすれば、対自己資金に対する利回りは100%になります。

「間違いなくREITで年間3〜10%儲かるから5,000万貸してくれ!」と言って貸してくれる金融機関はまず間違いなくこの世に無いと思いますが、不動産投資は貸してくれます。

不動産投資は不動産そのものに担保価値があるから借り入れが可能となり、借り主本人の属性(年収などのステータス)も重要ですが、自分が買いたいと思っている不動産の価値も味方につけられるのが最も異なる点です。

加えて、REITはインカムゲインこそ3〜10%と手堅いでしょうが、資産価値が株や投資信託と同様日夜変動するため、投機的なリスクを孕んでいることも無視できない点です。

 

まとめ

長々と書きましたが、資金面でほぼノーリスクのアフィリエイトなどと違い、不動産投資は間違いなく高リスクではあります。ただ、リスクを取ること、リスクがあること自体をデメリットというのは極論過ぎて、偏りがある意見であると言わざるをえないと思います。

また、一般的に参入障壁が高く素人が手を出しにくいジャンルであることは間違いないでしょう。だからこそ、ライバルが限られていて、着実に勝ちにいきやすい投資であることとも捉えられるのではないでしょうか。